公開日:2022/10/04 最終更新日:2022/10/24
着物は、着物自体や帯以外にさまざまな小物をコーディネートして着付けをします。そのなかのひとつである重ね襟は、色や素材がいろいろあり、どんなものを選ぶかによって全体のイメージを変えられる大事なアイテムです。そこで本記事では、重ね襟の特徴や選び方について解説します。ぜひ着物のコーディネートの参考にしてください。
重ね襟とは、伊達襟とも呼ばれ、着物の着付けに使う小物のひとつで、衿の部分につけます。細長い布を半分の幅に折り、襟に添って着たときに少し見えるように縫いつけたものです。
重ね襟をつけると、何枚かの着物を重ね着しているかのように見せられます。これは、昔は礼装をする際に、着物を何重にも重ねて着る習慣があったことが由来とされています。それが徐々に、重ね着をするのではなく、重ね襟を使用すればよいということに変わっていったのです。
絶対に重ね襟をしなければならないというわけではありませんが、使うことによって雰囲気を変えたり、個性を出せたり、着物の格を上げられたりします。色や素材、柄は多種多様で、自分が好きなコーディネートを楽しめます。
重ね襟と混同しやすいアイテムに半襟という着付け小物がありますが、半襟は長襦袢の襟につけ、汚れることを防ぐために使うものです。
つけ方としてはまず、重ね襟の真ん中と着物の襟の真ん中をくっつけます。このとき、重ね襟を着物から5mmほど中に入れて、着たときに後ろから重ね襟が見えないようにしましょう。重ねたら、中心とそこから左右5cmほどの計3か所を固定します。
縫いつけずにクリップのみで固定して着付けをすると、着てから時間が経ったときに重ね襟がずれて出てきてしまうことがあるため、縫いとめることをおすすめします。
重ね襟のおすすめの選び方について、着物の色別に紹介します。
赤い着物は、さまざまな色の重ね襟と相性がいいです。たとえばカラシ色だと差し色になり大人っぽい雰囲気に、ピンクやオレンジなどの同系色を合わせるとかわいらしくなります。また、補色である緑色の重ね襟がおすすめです。緑が濃いと大人っぽさを、薄いと優しい雰囲気の印象になるでしょう。
黄色の着物には、着物には使われていない色の重ね襟をつけるのがおすすめです。たとえば、赤やピンクなどを選ぶと、より華やかな印象を与えられます。また、黒や紫の重ね襟を合わせると個性的な着こなしになるでしょう。
青い着物にはオレンジや黄色などの暖色の重ね襟をするとアクセントになります。同系色を使うとクールになり過ぎてしまいがちなところを、暖色の重ね襟を組み合わせることで、やわらかい雰囲気にできます。また、深めの紫を入れても引き締まった印象になってよいでしょう。
緑の着物の場合は、大人っぽい着こなしを意識して、黒や青など暗い色味の重ね襟を選ぶとよいでしょう。反対に、ピンクや赤色を使って華やかな雰囲気にもできます。レトロな雰囲気の着物であれば、うぐいす色やカラシ色にするとまとまった印象になります。
紫の着物には、黒の重ね襟を組み合わせると、クールなイメージになります。上品で華やかな印象にしたい場合は、パステルカラーなどの明るい色を使うことがおすすめです。
白の着物は、小物の色の選び方によってかわいらしくも落ち着いた雰囲気にもできます。淡めの赤やピンクの重ね襟を取り入れるとかわいらしい印象に仕上がり、紫や水色を使うと、クールな印象になるでしょう。
黒の着物は、濃い赤など、深めの色の重ね襟を合わせるとエレガントな印象を与え、青や紫にするとさわやかな雰囲気になります。
重ね襟を使ってより個性を出したい方には、レースやフリルを使ったものもおすすめです。
レースの重ね襟は、コーディネート次第でかわいらしくも、かっこよくもできるアイテムです。かわいい雰囲気の着物や洋風の柄の着物には、白色の重ね襟を合わせることが人気です。かっこいい雰囲気の着物や、大人っぽくしたい場合には黒色を選ぶとよいでしょう。
また、着物の色に合わせて、カラーのレースを選んでもよりおしゃれさが増します。ただし、着用する場によっては軽すぎる印象を与えかねないため、気をつけましょう。
フリルの重ね襟を取り入れると、襟元に存在感をもたせた、ゴージャスな印象を与えられます。通常のタイプとは形が違うため、見る人の目を引くでしょう。ただし、全体的に装飾を過剰にしてしまうと、ごちゃごちゃとした印象になるため、取り入れる際にはほかのアイテムとのコーディネートのバランスを取ることが大切です。
本記事では、着物の重ね襟について解説しました。全体的に見たときの面積は狭くても、選ぶものによって個性を出すことができる大事なアイテムです。着物の色や柄、見せたい雰囲気を考えてから、どんな色や素材の重ね襟を合わせたらよいかを検討すると選びやすいでしょう。
今回紹介したレースやフリル以外にも、絞りやパールつきなど、ほかにもいろいろなタイプがあります。さまざまなカラーバリエーションや装飾、素材があって、見れば見るほど迷ってしまうかもしれませんが、今回お伝えした選び方を参考に、ぜひ楽しみながら自分の好みのコーディネートを考えてみてください。